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第2355回 ネバネバの効用(2)



 納豆について興味深い話を聞かされた事があります。微生物による成分の分解が人に都合の良い方向に作用した場合、発酵と呼ばれ、都合が悪い方向へ進んだ場合は腐敗と呼ばれますが、大豆を発酵させて作られるのに納豆、発酵や腐敗が関わらない状態で作られるのに豆腐と、同じ大豆製品でありながら名称に矛盾が生じているように思えます。

 かつては大豆を発酵させて作る納豆が豆腐と呼ばれ、型に納めて固まらせて作る豆腐が納豆であり、いつの頃からか名前が取り違えられて今日に至ったといいます。如何にもという感じがして、納得させられてしまうのですが、単純にこじつけられただけの俗説とされます。

 納豆という言葉が初めて文献に登場するのは、平安時代に藤原明衡によって書かれた「新猿楽記」であるとされます。「塩辛納豆」の文字が記載されている事から、今日でも見る事ができる粘りを持たない大徳寺納豆の事で、精進料理として寺院で作られていた事から寺納豆とも呼ばれ、製造元となった寺の名前を付けられた物を各地に見る事ができます。

 塩辛納豆については中国から製法が伝えられたとも、一休禅師が考案したとも伝えられ、寺の倉庫にあたる「納所」で作られていた事から「納所の豆」という事で「納豆」の名称が生まれたとされます。

 それに対し粘りを持つ糸引き納豆は、茹でた大豆を藁で包んでいたら藁に付着していた納豆菌が大豆を発酵させるという偶然によって生まれたとされ、それがいつの事かは定かではないといわれます。

 弥生時代の住居跡には、藁を床に敷いていた跡が残されているので、大豆の栽培や藁の利用という点で納豆が生まれる土壌はあるように思えるのですが、大豆の栽培は縄文時代には始められており、稲作も行われた事から、縄文時代には納豆が生まれてもおかしくない状況ができあがっていた事になります。

 塩辛納豆よりも遥かに古い時代から作られていながら、これといった統一的名称を持たなかった糸引き納豆が、同じような工程で作られる塩辛納豆に出会い、同じ発酵食品として納豆と呼ばれるようになったと考える事ができます。その後、糸引き納豆が納豆の主流となる事には、美味しさや健康面に加え、独特な存在感もあるように思ってしまいます。


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