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第2411回 地の底から



 飲食店の排水から油分と水分を分離して、油分の回収を行うためのグリストラップの清掃を微生物の分解機能を使って行うという研究をしていた方と話をさせていただいた事があり、その際、グリストラップがどれほど酷い状態になるのかを聞かされた事があります。

 家庭の排水溝とはレベルが違う汚れなのですが、そのグリストラップに溜まった油分から食用油が造られると聞かされた時は、あまりの事に衝撃を覚えるとともに、もはや人間の所業ではないと思えた事が思い出されます。

 詳しく聞いたところではグリストラップではなく、マンホールの蓋を開けて下水道内に溜まっている黒く濁った塊を原料とするらしく、グリストラップに溜まる油分よりもはるかに程度の悪い物が原料とされている事が判ります。

 下水道から原料となる黒い塊を掻き出す専門の人がいるとの事で、毎日一人当たり桶に4杯ほどの原料が回収されているとされます。回収された原料は一昼夜かけて濾過され、加熱して不純物を沈殿させたり、分離させたりといった複数の工程を経て精製されるそうで、悪臭を放っていた原料はほぼ無臭となるといわれますが、新品の食用油と比べると一目で判るほど黒ずんだ色をしていて、製品にはメーカーや生産者、製造月日などの記載がない事から三無商品とも呼ばれます。

 マンホールから得られる三無商品、地溝油は1トンを製造するのに日本円で5000円程度のコストで済むだけでなく、売価もサラダ油の半値程度である事から中国では広く普及していて、中国で使われている食用油の10%程度が地溝油ではないかともいわれています。

 統計では中国で使われている食用油は年間2250万トンとされ、食用油の生産量が2000万トンである事から、その差である250万トンが地溝油であるという指摘もあり、誰もが口にした事のある物ともいわれます。

 地溝油はその不衛生極まりない成り立ちよりも含まれているとされる最強のカビ毒であるアフラトキシンや、基準値を上回る農薬のDDTなどが怖ろしいのですが、利益率の高さや価格の安さから製造に携わる者がエリートサラリーマン並みの所得を得ているとされる事や、使用するレストラン経営者は使っている事を認識しているので、自分の口には入らないという安心感、取り締まる行政機関の縦割り構造と責任の曖昧さで、実際には取り締まりが機能していないという構造的な部分にも怖ろしさを感じてしまいます。

 すでに日本向けの加工食品の製造にも使われているという懸念もあり、中国を訪れ、現地で食事をしている私も食べているのかと問題の根深さが感じられてきます。アフラトキシンの毒性によって引き起こされる肝臓ガンには気を付けておかなければとも思えてきます。


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