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第2430回 トマトの秘密

 先日、身近な物を使った科学実験のような事を行う番組を見ていると、圧縮空気をを使って野菜を超高速で射出し、どの野菜が縦に固定されたまな板を貫通する事ができるかという実験を行っていました。

 ジャガイモなどの如何にも硬そうな野菜たちがまな板にわずかに傷を付ける程度しかできなかった事に対し、意外にも真っ赤に熟れた柔らかいトマトが見事にまな板を貫通して、視聴者を驚かせるという結果になっていました。

 完熟したトマトはとても柔らかく、その柔らかさを利用して包丁の切れ味を示す場面に使われたりもします。少しでも切れ味が劣る包丁だとトマトの表面の皮を切る前に中の身を潰してしまい、切り口がとても汚くなってしまいます。

 そうならないようにトマトを切る際は、あらかじめ包丁の角を使って皮に切り込みを入れ、そこから包丁を滑らせるようにして切る事にしています。

 そんな柔らかいトマトも熟す前の青い状態の時は硬く、多少切れ味の落ちた包丁でもザクザクと切る事ができます。普段、熟したから柔らかくなったとしてあまり深く考えていなかったトマトの変化は、実は詳細なメカニズムが解明されてはおらず、謎のままとなっていました。

 これまでトマトが熟すと柔らかくなる事については、細胞壁が深く関わっていると考えられていて、成熟に伴って細胞壁の中の硬さに繋がる成分が分解され、細胞壁その物が柔らかくなっていくという仮説が考えられていました。

 最新の研究では、トマトの硬さの変化には「架橋性多糖」と呼ばれる物質が関わっている事が判り、その名の通り分子と分子の間に橋を架ける働きを持つ架橋性多糖がトマトの細胞壁を構成する分子を繋ぎ合せ、硬い状態を作り出していた物が、成長によって橋を架けかえる分子が活性化し、柔らかい状態へと変化している事が判ってきました。

 植物の細胞を包み、形作っている細胞壁は常に一定という訳ではなく、成長に応じて分子レベルで激しく変化し続けていた事が判ったのですが、どちらかというとまな板を撃ち抜くトマトの方が衝撃的で、そこまでの破壊力を持つ理由は豊富な水分にあるとの事でした。

 柔らかさや瑞々しさはトマトの特徴ですが、意外なところで意外な研究が行われているものだと驚かされてしまいます。


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