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第2432回 葛と水


 今年も暖かくなってきた事もあり、庭の雑草が勢い付いてきています。そんな雑草たちの中で少し遅れて芽吹いてきて、圧倒的な勢いで毎年庭を席巻してくれる存在が「葛」となっています。

 その強力な生命力と旺盛な繁殖力は他の雑草を圧倒的に凌駕していて、せっかく植えた庭木も葛によって覆われて日光を奪われ、枯れさせられてしまったものが多数存在し、秋を迎えて紫の花が咲いているのを見掛けると、何ともいえない敗北感を味わっています。

 そのような日常の繰り返しのため、葛には良いイメージが全然ないのですが、葛の根から採れる葛粉となると話は別で、原料の採取から加工までを全て国内で行った国産の葛粉となると、とんでもない高級食材と思えてきます。

 葛粉を使う代表例としては和食のあんかけやごま豆腐などが思い浮かんでくるのですが、最も目に見える形での利用例というとくずきりか葛まんじゅうではないかと思えてきます。

 透明感あふれる葛粉の生地に包まれた餡という葛まんじゅうは、湿度が高く厳しい暑さの日本の夏にひと時の涼をもたらしてくれる和菓子なのですが、最近では葛粉以外を使った葛まんじゅうも見られ、デンプンを熱で硬化させた透明な生地を持つ和菓子の総称という感じに、葛まんじゅうの名は形骸化してしまっているようにも思えます。

 昨今、レストランメニューを中心とした材料の偽装表示が問題となっていましたが、葛まんじゅうは大丈夫だろうかと心配になったりもします。

 そんな葛まんじゅうと良く似た存在として、水まんじゅうがあります。すでにどちらの呼び名も形骸化しているので、葛まんじゅうに水まんじゅうが含まれたり、水まんじゅうに葛まんじゅうが含まれたりという解説を見る事もあるのですが、概念的に含まれてしまう事はあっても似て非なる物ではないかとも思えます。

 よくいわれるところでは、葛まんじゅうは葛粉のみで作られ、水まんじゅうは葛粉にわらびの根から採られる蕨粉を混ぜて作られているという違いに触れられています。

 今日では、葛粉も蕨粉も高価になってしまったので、それ以外の原料が多く使われるようになり、すでに両者の違いは失われてしまっているという意見もありますが、売られている両者を見ていると、明確な違いが存在する事が判ってきます。

 売られている両者の姿を見ると、どちらもまんじゅうの名に相応しく丸いドーム型をしている物がほとんどなのですが、生地の部分の透明感に違いがある事に気付きます。葛まんじゅうは透明感が強く、あくまでも透き通った生地が餡を包んでいますが、水まんじゅうは乳白色で透明とはいえない感じの生地が餡を包んでいます。

 また、生地に包まれた餡の量にも違いがあり、薄い生地に多量の餡が包まれている葛まんじゅうに対し水まんじゅうでは生地の比率が高く、生地の食感も充分に堪能できるようになっています。

 おそらく葛まんじゅうと水まんじゅうの出発点では、葛粉のみで作るか、葛粉に蕨粉を配合するかという違いが存在し、葛粉のみで作ると透明感が強くなる事や、蕨粉を配合する事で食感が面白く、水菓子としても愉しむ事ができるという特徴が餡の比率の違いを生み、今日にスタイルのみが継承されているのかもしれません。


 
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