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第2487回 正直と嘘つき



 私の中での答えは決まっているのですが、困った事に正式な答えが判らないため、それが正しいのかずっと確認できないでいるなぞなぞがあります。それは正直者と嘘つきに関するもので、童話のような面白い物語を伴っています。

 なぞなぞの主人公である私は、どうしても急いで深い森を抜けた先にある正直村へ行かなければなりません。正直村はその名の通り正直者ばかりが住んでいて、村人は生涯一つの嘘もつかないといわれています。

 困った事に正直村にはそっくりの隣村、嘘つき村があり、村の景色も家の作り、住んでいる人も正直村にそっくりなのですが、嘘つき村に住む人は全員が嘘つきで、生涯一つの真実を語る事もないといわれます。

 正直村への道を急ぐ私は深い森の中で迷子になり、やっとも思いで森の出口にまで辿り着く事ができました。もう少しで正直村に行けそうなのですが、目の前の道は先の方で二つに分かれ、一つは正直村に、もう一つは嘘つき村へと繋がっています。

 どちらへ進むべきかも判らず途方に暮れそうになっていると、それぞれの道からとてもよく似た人が歩いてきます。私はそれぞれの道から来た人から話を聞いて、正直村へと通じる正しい道を判断しないといけないのですが、疲れ果て、喉もかすれてしまっている私は一言を発するのがやっとという状態です。どのような一言で正直村への正しい道を判断しますかというものなのですが、正式な答えを知らないままとなっています。

 最近、興味深い実験が行われ、嘘をよくつく人は脳の活動領域に違いがある事が判ってきています。実験では20~30代の約30人の被験者に二つのゲームをしてもらい、第一のゲームでは簡単な画像を使ったクイズを行い、正解すると報酬としてお金がもらえるというもので、ゲームの勝利と報酬を関連付けた上で第二のゲームであるコインの表裏を当てるゲームに挑戦してもらいます。

 コインの表裏を当てる単純なゲームですが、正解すると報酬としてお金がもらえ、不正解だと手元に資金が減ってしまいます。第二のゲームは二つの方法に分けられ、事前に答えを決めて申告しておく場合と、申告をせず心の中だけに留めておき、答えが判った後、心の中の予想と合っていたかを自己申告してもらいます。その際、自己申告による正解率が不自然に高いと報酬を得るために嘘をつく傾向があると判断されます。

 その結果として、第一のゲームの際に脳の側坐核と呼ばれる報酬を期待する際に活性化する領域の活動が活発な人ほど第二のゲームで嘘をつく事が確認され、嘘をつかない人では理性的な行動や判断を掌る背外側前頭前野の活動が活発である事が観察されています。

 お金以外の欲でも同じ傾向が観察されるのかが今後研究されるそうですが、脳の活動領域の違いが正直村と嘘つき村の住人の行動を決めていたという事に納得しながら、森を抜けて疲れ果てている私には、二人の村人の脳の観察はできないと思ってしまいます。


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