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第2597回 餡の世界



 和菓子の餡について、つぶ餡かこし餡かと聞かれると、断然つぶ餡派だと思えてきます。元々柔らかく煮られた小豆の風味や食感が好きなので、あまり潰してなく、皮もしっかり含まれているものの方が好きだと思えてきます。

 餡が中国から日本へ伝えられたのは聖徳太子の頃とされ、当初は肉や野菜を煮込んだ塩味の物であった事から、今日の中華まんを思い浮かべてしまいます。

 今日のような小豆を用いた小豆餡が作られるようになったのは鎌倉時代の事とされ、伝来当時と同じく小豆餡ではあっても塩味となっていました。甘い味付けの小豆餡の登場は安土桃山時代以降の事となりますが、砂糖が高級品であり続けた事から庶民が甘い小豆餡を食べられるようになったのは、随分と後になってからと考えられます。

 一般的に餡というと小豆を使った小豆餡が思い浮かび、それ以外というと白インゲン豆を使った白餡、緑エンドウ豆を使ったうぐいす餡、赤インゲン豆を使った赤餡、枝豆を使ったずんだ餡などが思い浮かんできます。

 普段はつぶ餡かこし餡くらいしか意識しない小豆餡ですが、細かく見てみると加工法や加工度合いなどによる分類が存在し、興味深く思えてきます。

 小豆を柔らかく煮て、水分量が60~65%と多いものは「生餡」と呼ばれ、生餡を乾燥させて水分量を5%程度にしたものは「さらし餡」となります。さらし餡は水で戻すなどして使われ、生餡やさらし餡に砂糖を加えて練り上げたものが「練り餡」となります。

 馴染み深いつぶ餡はつぶ餡とつぶし餡に分ける事ができ、小豆を柔らかく煮て粒を残しながらできるだけ潰さないように砂糖を加えて練り上げたものが「つぶ餡」。粒を潰して皮を取り除かないものが「つぶし餡」となり、加工度合いによる両者の境は曖昧なようにも思えます。

 つぶ餡、もしくはつぶし餡を裏ごししたものが「こし餡」となるのですが、完全に粒がなくなるまで潰して練り上げられたつぶし餡とこし餡の境は皮の有無だけのように思えて、つぶ餡とつぶし餡ほどではありませんが、こちらも違いが判りにくいもののようにも感じられます。

 小豆餡の事を「小倉餡」と呼ぶ事がありますが、厳密には小倉餡は大納言の小豆と普通の小豆という2種類の小豆を使って作られるもので、煮崩れしにくく、粒が大きい大納言のつぶ餡と普通の小豆のつぶし餡、もしくはこし餡を混ぜる事で小豆の粒感や風味を愉しむ事ができるように工夫されています。

 つぶ餡の事を小倉と呼ぶ例も見られているのですが、小倉餡の由来が空海が中国から持ち帰った小豆の種子を京都の嵯峨、小倉山付近で栽培した事という事を考えると、小豆であれば小倉であっても良いように思える反面、その小豆を使って作った餡が御所に献上された事を思うと、厳密に区別しなければという気もしてきます。

 小豆を使った餡には、こし餡に米粉を加えてそぼろ状に仕上げる「村雨」と呼ばれる変わったものや、しっかり煮込んだ「煮くずし餡」、小豆の皮を剥いた「むき餡」などもあり、そのバリエーションの広さには驚かされてしまいます。

 奥深い世界を感じてしまう小豆餡ですが、和菓子という世界の奥深さを思うと当然の事とも思えてきて、久々に美味しい甘酒饅頭でも探しに行こうかと思えてきます。


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