FC2ブログ

第2666回 白粉現象



 気温が高くなってきて、テンパリングに最適な室温を上回るようになってきたので、そろそろ大好きなチョコレート作りもシーズンオフかなと思っています。テンパリングはチョコレートの美味しさを左右する重要な作業なので、涼しくなるまでは一休みするとして、その間の分としてたくさん作るという事を考えてしまうのですが、かなり繊細な食べ物でもあるので作り置きはしない方が無難なようにも思えてきます。

 意外な感じがするのですが、チョコレートは含まれている水分が極端に少ない事から、栄養価に富んでいながらカビや腐敗菌の繁殖といった生物的劣化とは縁が薄い食べ物となっています。カビや雑菌の繁殖がないというとかなり保存性が高いようにも思えるのですが、温度や湿度の変化には敏感で劣化の原因となってしまいます。

 広く知られている事ですが、チョコレートを高い気温の中に放置するとチョコレートの中の油脂分が溶け出し、表面で固まって白い粉をふいたような状態のファットブルームを起こしてしまいます。逆に低温にさらされると、表面の結露などによって溶け出した糖分が結晶化して白い粉状となるシュガーブルームを起こして風味や食感が劣化してしまいます。

 そうしたブルーム現象がどのように起こるのかについて、世界的なチョコレートメーカーの研究によってメカニズムが解明され、ファットブルームを防ぐ方法についてもいくつかの推測が行われていました。

 ファットブルームはカカオに含まれる脂質が液化して表面に染み出してくる事から始まるのですが、液化した脂質がどのように表面に移動するかを再現するためにチョコレートを粉末化して、油脂分として少量のひまわり油を滴下し、状態を高出力エックス線を照射して観察したところ、油脂分はチョコレートの微細な隙間を毛細管現象のようにすばやく染み込む事で移動する事が確認されました。

 この事からチョコレートの内部の隙間を少なくして、液化した脂質が通る隙間を少なくする事や、脂質が液化しにくい温度である18度を保った環境に保管する事がファットブルームを防ぐ方法と推察されていました。

 チョコレート内部の隙間を少なくするには、できるだけ滑らかな状態に仕上げる事が良いと考えられる事から、ミルクチョコレートよりもビターチョコレートの方がファットブルームを起こしやすいという長年の謎が解けたように思えて、今回の研究を興味深く眺めてしまいました。


 
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kcolumnist

Author:kcolumnist
にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR