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第2670回 植物感染



 慣れてしまったのか、一時期ほどの怖ろしさをもって語られなくなった狂牛病。牛の場合が狂牛病で羊はスクレイピー、人はクロイツフェルト・ヤコブ病などと呼ばれますが、共通するのは感染源がプリオンという小さなタンパク質で、病気を引き起こす事から感染性プリオンと呼んで体内にある正常型のプリオンと区別されています。

 感染型プリオンは体内に存在する正常型プリオンの高次構造を変化させて感染型に変えて増殖すると考えられていて、これまで感染症を引き起こす病原体として捉えられていた細菌やウィルスとは違う新たな感染症の原因とされます。

 感染性プリオンの怖ろしさは変性への強さにあり、感染力を奪って不活性化させるには134度の加圧蒸気で18分以上処理する必要があるとされ、通常の調理などでは毒性が消えず、知らずに感染性プリオンが含まれた食材を感染力を残したまま食べてしまう可能性があります。

 これまでは狂牛病に関する検査を行う事で、食肉に感染性プリオンが混入する事を防いでいましたが、最近の研究で食肉以外の部分からも感染の可能性が示唆されていて、感染性プリオンの脅威は新たな段階を迎えたようにも思えます。

 今回の研究で確認された事は、感染性プリオンに感染した動物や人の脳や排泄物から単離した感染性プリオンが小麦の根や葉に吸着し、その後も感染力を維持できる事。感染性プリオンが吸着した小麦の根や葉を洗浄して動物に与えると、感染が起きてしまう事。そして感染性プリオンは土壌中から植物内を移動し、感染可能な量が葉や茎に蓄積される事といった新たな感染経路を示すものとなっています。

 プリオン病は感染した動物の肉に含まれる感染性プリオンによって感染が引き起こされると考えられ、草食動物である牛や羊に関しては人が肥育を目的として本来は食べる物ではない肉骨粉を飼料として与えた事が原因とされてきました。

 飼育されている牛や羊ならそうした飼料に触れる事もありますが、野生動物である鹿やヘラジカの間に特定の地域の風土病として広がっていた慢性消耗病の原因も今回の研究によって解明の糸口を見付けられるようにも思えます。

 小麦などの植物の場合、感染性プリオンを含んでいるかを検査する事は極めて難しく、今後、どのように食の安全を確保するのかという問題が生じる中、DNAも持たないプリオンが何故増殖しようとするのか、いまだに理解できず頭を捻ってしまいます。


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