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第3105回 考察、フライドポテト



 アメリカのレストランでいただいた格子状にカットされたフライドポテトの美味しさが忘れられず、自分でも作ってみようと思って調べてみると、格子状にジャガイモをカットするには「ワッフルスライサー」が必要という事が判り、その後、探しているのですが良さそうなものに出会えず、未だに我家のフライドポテトはくし型のままです。

 それでも格子状に切ったフライドポテトを出してくれるレストランを見付けていたのですが、久々に行ってみるといつの間にか普通の直線的な形に変わってしまっていて、「この店に来れば食べられる」と信じていただけに、かなりがっかりしてしまったという事がありました。

 某大手ハンバーガーチェーンでサイドメニューとして人気のフライドポテトですが、揚げたての香りに思わず食欲を刺激されたという経験を持つ人も多いと思います。香ばしく揚がった美味しさを再現しようと同じような切り方をして試してみるのですが、今一つ違うものを感じてしまい、業務用フライヤーでなければあのようには揚がらないのかと考えてしまいます。

 以前、ハンバーガーチェーンのフライドポテトの原材料が公表され、味の違いは揚げ方の違いではなく、原材料そのものにある事が判るという事がありました。切り分けたジャガイモを油で揚げ、塩で味付けするだけといういたってシンプルなはずのフライドポテトには17種類の素材が使われ、その内容には体に悪いとされるものも含まれていて、情報は瞬く間にインターネットを経由して拡まっていました。

 消泡剤や色の調整剤、保存料、遺伝子組み換えされた油などあまり口にしたくないものが並んでいて、頻繁に食べるべきものではないと思えてきます。そうした添加物が含まれていないにしてもフライドポテトはあまり健康に良くないイメージがあり、実際、油で揚げたジャガイモを週に2回以上食べる人と、油で揚げない別の調理法で料理されたジャガイモを食べていた人では、死亡リスクに明らかな違いがあるという研究結果も存在します。

 揚げ物であるためにカロリーが高い事が不健康な理由のようにいわれてきましたが、カロリーと肥満の関係が疑問視されるようになってもジャガイモには糖質が多い事が問題視され、デンプン爆弾とまで呼ばれてしまう事があります。

 高いカロリーや豊富な糖質が肥満に繋がり、健康リスクを高めているだけでなく、ジャガイモに豊富に含まれているアミノ酸、アスパラギン酸が100度を超える高温で熱される事で発ガン物質のアクリルアミドに変化してしまう事もリスクに繋がるともいわれます。

 揚げ油にも問題があるとされ、含まれているトランス脂肪酸が健康に悪影響を与えるとも考えられています。その反面、油に含まれている抗酸化作用のある成分が素材に移るとされ、油で揚げたジャガイモやカボチャ、ナスなどは炒めたり、茹でたりしたものよりも多くの抗酸化物質を含むとされます。

 油自体も脂溶性ビタミンの吸収を助けるとされ、必ずしも健康に対してマイナスに働くものではない事が判ります。メリットとデメリット、さまざまな要因を考えてみるのですが、揚げたてのフライドポテトには抗しがたい魅力があり、目の前にして食べないというストレスも体に悪いといい訳けしながら、思わず食べてしまっています。



第3104回 枯渇という悲劇



 簡単な筒状の機材に電気を流し、空気と水からアンモニアを作り出す技術が開発され、やがては水素を取り出すための化石燃料も大規模なプラントも必要なくなり、農地の一角で肥料が作れるようになるかもしれないという明るい未来が予想される反面、肥料という点からは非常に未来を不安視する要因も聞かれています。

 南太平洋にナウルという島国があります。バチカン市国、モナコ公国に次ぐ世界で三番目に小さい国で、その面積は東京都の港区とほぼ同じくらいだといわれます。目立った山もなく、川もなく、南太平洋らしさが感じられるビーチもない事から観光業などの産業が成り立たず、非常に貧しい国だといわれます。

 現状は貧しくてもかつては非常に裕福で、医療費や教育費、税金、公共料金は無料というだけでなく、ベーシックインカムとして生活費が政府から支給され、新婚のカップルには新築の2LDKの家が無償でプレゼントされていました。まるで産油国のようですが、そうしたナウルの豊かさを支えていたのがリンの鉱石で、岩礁に海鳥の糞などが堆積してできたナウルからは質の高いリン鉱石が豊富に産出されていました。

 リン鉱石は世界中で化学肥料の材料として使われていて、ナウルのリン鉱石は純度が高く良質な事で知られ、最盛期には170万トンものリン鉱石が採掘されていました。ナウルがリン鉱石で得た収入は5000億円以上ともいわれ、人口が5000人ほどであった事から国民一人当たり1億円にも達します。

 一時は島には主要な道路は1本しかなく、自転車でも1時間ほどで一周できてしまいそうな島なのにベンツやフェラーリが所有され、まさにバブルとも呼べるような状態となっていました。そんなナウルが破綻したのは、主要な産業であるリン鉱石を採掘し尽くしてしまったためで、潤沢な資産を使った海外投資なども試みられましたが尽く失敗してしまい、現在のような状況を迎えてしまっています。

 リン鉱石からは、肥料に欠かせない三大栄養素のアンモニア、リン、カリウムの中のリンが得られます。植物には欠かせないものであっても鉱石である以上、採掘を続けるといつかは埋蔵量が尽きてしまいます。アンモニアのような化合物であれば幾つかの元素を組み合わせて作り出す事も考えられますが、リンは元素である事から合成する事ができず、埋蔵量を使い尽くしてしまうと新たに得る事ができなくなっています。

 リン鉱石の枯渇はナウルに限った事ではなく、世界中の鉱山で埋蔵量の減少がいわれています。将来的な人口爆発を支えるための食糧増産に欠かせない肥料ですが、このままでは三大栄養素を揃える事ができなくなり、危機的事態を迎えてしまう事も考えられます。

 一説には2060年には世界中のリン鉱石が枯渇してしまうともいわれ、それ以降、近代的な農業が成り立たなくなるという怖ろしげな話もあります。農耕という食糧確保の術を手に入れた事で人は定住する事を可能にし、文明を築いてきました。その農業を失った時、何が起こるのか、とても怖い気がしてしまいます。


第3103回 水と空気から



 今後、世界的な問題となるとされる事の中に人口の増加があります。日本では少子高齢化と人口の減少がいわれていますが、日本人が減少したくらいでは追い付かないほどの勢いで世界の人口は増え続け、さまざまな問題へと繋がっていくと考えられています。

 人口の増加に対応するために欠かせない事の一つとして、食料の確保が重要となります。食料を増産しなければ増え続ける人口を支える事ができなくなってしまうのですが、そのために必要となるものがアンモニアといわれます。

 アンモニアというと蜂に刺された時に必要になるものという事が思い浮かび、試合中に意識が朦朧としたボクサーに特有の刺激臭を嗅がせ、その刺激によって意識をはっきりさせるという用途を聞かされた事が思い出されます。

 それ以外の用途というとあまり浮かんでこないのですが、アンモニアは農業には欠かせないものとなっていて、化学肥料の原料として広く使われています。その生産量は年間で1億7千万トンが世界中で生産されているとされ、その8割が肥料の原料として使われているとされます。

 地中に含まれているミネラルなどの栄養素は、植物の成長によって植物中へと移動し、収穫する事でその土地から奪われてしまいます。そのため、どんなに肥沃な土地でも畑として繰り返し植物の栽培、収穫を繰り返す事でやがては植物を育てる事ができない痩せた土地へと変わってしまいます。

 土地が痩せてしまう事を防いだり、不足する栄養素を添加して植物の成長を円滑にするために必要なものが肥料であり、その歴史は極めて古いとされます。今から1万年ほど前、旧石器時代に農耕がはじまり、人々が定住するようになると、食料を生産するために畑が作られ、切り開いた平野で刈り取った雑草などが燃やされ、その灰が最初の肥料となったと考えられています。

 肥料に欠かせない三大栄養素といわれるのが窒素、リン、カリウムの三成分で、その窒素の供給源として肥料作りに使われているのがアンモニアとなっていて、肥料作りに欠かせないものといわれる所以となっています。

 現在、アンモニア生産はハーバー・ボッシュ法と呼ばれる鉄の触媒を使って高温高圧で水素と窒素を反応させる方法で行われています。高温高圧という環境を作り出す事や、水素を化石燃料から作り出している事からそれなりにコストが掛かっているとされ、製造施設も大規模なものが必要になっています。

 そんなアンモニアを簡単に、しかも水と空気から作り出せるという夢のような技術が開発されています。開発者は九州工業大学大学院生命体工学研究科の春山教授で、春山教授は気体と液体の境界で起こる反応を研究している中、水の表面では水素原子が他の原子と反応しやすくなる性質に着目。空気に電気を流しながら刺激を与え、空気中の窒素原子と水の表面の水素原子が結合して水中にアンモニアが溶け出すという仕組みを考案しました。

 まだ実験室レベルではありますが、筒の中に水と空気を入れ、電気を流す事でアンモニアが得られる反応器を完成させ、すでに世界各国へ特許の出願が行われています。使用するエネルギーが小さい事や設備も簡単に済む事から、将来的に普及すればインフラの整備が遅れている地域で直接肥料の製造を行うという事も可能になると考えられ、人口爆発が懸念される未来を支える技術となるといえます。

 化石燃料から水素を取り出す必要もなくなり、二酸化炭素の削減に繋がる事も考えられ、植物に必要なものを植物と同じように水と空気から作り出すという事は、どこか夢のある技術のようにも思えてしまい、未来の農業というものを考えてしまいます。


第3102回 プラスティック問題



 2050年、少々遠い未来のようにも思えますが、多分、私は生きてその時を迎えるように思えます。そんな2050年、重量換算で海の中に棲息する魚よりも、海を漂うプラスティックごみの量が多くなるだろうと試算されています。

 喉が渇いていて、一気に飲み干したら数分、ゆっくり飲んでも一日程度で用なしになってしまうペットボトルは、自然環境に放出されると分解するのに450年もの時間を要するともいわれ、世界的なプラスティックごみの問題を解決する事の難しさを感じてしまいます。

 上海へと向かう飛行機の窓から眼下に広がる海の様子がよく見えていたのですが、青空の下に広がる海面に吹き溜まりようなプラスティックごみの塊りがあるのが確認され、ショッキングな光景と思えたその30年も前に最初のプラスティックごみの塊りが太平洋の真ん中に発見され、今ではその大きさはフランスの面積の3倍にも及んでいるとされ、問題は解決へ向かう事なく深刻さを増しているといえます。

 東京湾のカタクチイワシの8割がお腹にプラスティックを溜め込んでいる事が確認され、世界中の39のブランドの食卓塩の9割からマイクロプラスティックが検出されています。すでに人の体内にも蓄積されている事が予想され、世界規模でプラスティック製のストローやコーヒーカップ、レジ袋などの使用禁止が広がってきています。

 そんな中、インドネシアではプラスティックごみを燃やして燃料に戻すという技術が開発され、実際にその装置をバイクに積んで路上のごみを拾いながら燃やしてバイクの燃料を確保し、ジャカルタからバリ島までの1200kmの旅を成功させるという事が行われていました。一ヶ月を要した旅で使われたプラスティックごみの量は130kgとされ、プラスティックごみの有効利用に繋がる技術と思えます。

 開発者はプラスティックごみは単なる廃棄物ではなく、資源であるという事を伝えるために開発したとの事で、安易にこの技術を普及させてしまうと、無料でもらえるレジ袋は無料の燃料となってしまうことから、かえってプラスティックの消費量を拡大させてしまう可能性があるとして、慎重な姿勢を崩していないといいます。

 日本では年間に900万トンのプラスティックごみを排出していますが、その7割は中国が受け入れています。その中国が受け入れの拒否を表明したため、日本のプラスティックごみは新たな受け入れ先を探す事となりました。できる事なら新たな受け入れ先を探すのではなく、まずは使用量を削減する、利用を長期化して必要量を減らす、利用できなくなったものはリサイクルする、そうした流れに繋がっていってくれたらと思ってしまいます。


第3101回 お茶の効用



 巷にマスクをしている人が増えたり、周りに急な発熱の話を聞かされたりすると、そろそろインフルエンザの流行が本格化してきた事を感じます。できる事なら辛い発熱や節々の痛み、激しい咳などには悩まされたくないので、良い予防法を講じなければと考えてしまいます。意外にも季節が冬へと移った事で水分補給を水から緑茶へ変えていた事が、インフルエンザの予防にも効果を上げてくれそうといわれています。

 緑茶に含まれる成分としてはカテキンの風邪予防効果は広く知られていて、外から帰宅したらお茶でうがい、水分補給にこまめにお茶を飲むという事はカテキンの効果を期待した冬場の健康管理として聞かされます。

 カテキン以外にもお茶に含まれる成分として、「テアニン」もカテキンと同じような抗ウィルス作用がある事が判ってきています。テアニンというとお茶の旨味にも関係した成分で、お茶の美味しさを決めるアミノ酸の半分以上を占めるとされ、お茶のほんのりとした苦味の中に感じる旨味と甘味はテアニンによるものとされます。

 最近では、テアニンは旨味、甘味を左右するだけでなく、お茶を飲んだ際に感じる安心感にも関与している事が知られるようになり、リラックス効果を生むアミノ酸としてサプリメント化も進められ、眠りの質を良くするものとしても知られるようになってきています。インフルエンザ予防にも効果があるとなると、ますますテアニンの人気は高まっていくと思えます。

 カテキンやテアニンだけでなく、お茶に含まれる成分でインフルエンザを予防してくれるものとしては「エピガロカテキンガレート」が広く知られていて、その働きは抗ウィルス薬の「アマンタジン」よりも高い効果を持つとされます。

 また、最近報告されたところでは、お茶に含まれる抗アレルギー成分である「ストリクチニン」にはエピガロカテキンガレートを上回る感染抑止力を持つ事が確認されたそうで、お茶のインフルエンザ予防効果をさらに高めてくれている事が判ります。

 緑茶と同じ「チャノキ」から収穫され、製法によって別物となってしまう紅茶にもインフルエンザ予防効果がある事が判ってきていて、その効果は緑茶にも引けを取らないともいわれます。

 茶葉が酸化発酵する過程で茶葉に多く含まれていたカテキン同士が結合し合い、新たなポリフェノールである「テアフラビン」となります。テアフラビンは強力な抗ウィルス作用を持つだけでなく、発酵の過程で分子構造が変化した事で、より強力な抗ウィルス作用を持つ事になるとされます。

 そうした一連の成分による抗ウィルス作用は、「スパイク」と呼ばれるウィルスが正常細胞に取り付く際に使う突起を捕らえて感染力を奪う事で作用している事から、免疫のように未知のウィルスには対抗できないという事がなく、新型にも対応できるようになっています。

 緑茶と紅茶、さまざまな働きがインフルエンザから守ってくれる事が考えられるのですが、紅茶にミルクを加えてしまうと、ミルクに含まれているタンパク質と抗ウィルス成分が反応して有効性が下がってしまうため、大好きなミルクティーはインフルエンザの季節には封印しなければと思えてきます。美味しいだけでなく、怖いインフルエンザからも守ってくれるというのは、お茶とは如何に良いものかと思えます。


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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
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